愛媛県「デジタル実装加速化プロジェクト」case 17.
2025年12月22日
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愛媛が向き合う課題と、新たな挑戦「トライアングルエヒメ」
愛媛県では、少子化による人口減少や地域の労働力不足が進み、生産性の低下や事業継続への不安が徐々に顕在化してきました。地域経済を支える一次産業の力を維持し、未来へ繋ぐため、県はデジタル活用による解決に踏み出しました。
「愛媛県は人口減少に伴う労働力不足により、生産量の減少や経営の不安定化が顕在化しています。技術を県内事業者に実装することで稼ぐ力を高め、県全体の発展を目指す取り組みとして“トライアングルエヒメ”をスタートしました。」(愛媛県デジタルシフト推進課 主任 宇髙 浩平さん)
県が目指すのは、“人と人との繋がりをデジタルが支える社会”。地域の現場に寄り添いながら課題解決を進めていくプロジェクトが動き出しました。
バラ苗づくりに宿る“細やかな技”を未来へ
相原バラ園は、70年前から続くバラ苗の育成技術を受け継いできました。接ぎ木や土壌の見極めなど、経験に基づく判断が多く、技術の標準化と継承は長く課題でした。
「バラ苗の生産には細やかな作業と経験値が必要です。父が始めた育成技術を次世代に残したいという想いがあり、生産性を高める方法を日々考えてきました。」(相原バラ園 代表 相原 尚子さん)
デジタルの力を借りながら、手作業の丁寧さと職人の感覚を次世代へ“わかる形”で残していきたい。その想いが今回の実証へと繋がりました。
映像 × 環境データで「見える技術継承」をつくる
キヤノンMJグループは、映像・環境データ・通信技術を掛け合わせ、農作業を可視化し、遠隔でも判断・指導できる技術を提供しています。
「カメラやセンサーで取得した画像や土壌データを可視化し、遠隔でも農地の状況を把握できる仕組みを構築しています。ウェアラブルカメラを使って熟練者の判断をリアルタイムで共有する環境も整えています。」(キヤノンMJ 情報通信システム本部 柳井 瑞貴さん)
相原さんも、実装実験の効果を実感しています。
「特に技術力が必要な「芽接ぎ」の作業をカメラで撮影し、その映像を使って従業員とフィードバックを行っています。技術指導と修正ができるようになり、確実に上達しています。」
“感覚”だった判断が“データ”として蓄積され、どこにいても技術を伝えられる環境が整いつつあります。



地域の想いと技術を繋ぎ、未来の農業へ
宇髙さんは、今回の取り組みが現場の声に沿って進められている点に手応えを感じており、県としても重要な視点だと考えています。
「農業従事者の困りごとを的確に捉え、寄り添いながら進めてくれる体制に安心感があります。」
さらに、キヤノンMJ柳井さんは、地域と技術の“未来”をこう語ります。
「地域の“想い”と“技術”、そしてデジタルの力をつなぐことで、関わる皆様が主役となる地域創生を目指しています。」