社内取締役・社外取締役の対談
グループ一体となった事業変革、ITソリューション事業の利益成長、キヤノン製品との複合的なソリューションの展開に期待

蛭川取締役、長谷部社外取締役が、当社グループの事業変革、強み、持続的成長に向けた取り組みについて対談を行いました。
事業変革の実行力を高めるには、グループ一体となった取り組みが重要
蛭川:2024年は当社グループにとっても変化の大きい1年でした。長谷部さんは2022年に当社の社外取締役に就任されてから、広く俯瞰した視点で、グループ全体の成長戦略や人材投資へのアドバイス、そして実行のスピード感の重要性についてお話しいただいてきました。いつも的確なアドバイスをいただいております。
長谷部:2024年において特に強く感じたのは、事業環境が大きく変化する中で、当社の経営施策の遂行、事業展開のスピードが増していることです。例えば、新たな事業の創出に取り組む「R&B(Research & Business Development)」の専門組織を2024年1月に立ち上げましたが、その後の取り組みや、M&Aをこれまでにないスピード感で実行してきたと思います。また、パーパスを打ち出し、当社グループが中長期的に目指す姿を明確に示したことも、新たに加わったグループ各社の社員、パートナー企業の皆さまと共に一体感を持って取り組みを推進するために大きな意味があると考えます。
中期経営計画における業績目標を達成するとともに、事業変革に向けた取り組みを着実に推進していることも高く評価できます。私の経験を踏まえると、事業変革に向けて、その先頭を担う層は積極的に取り組みますが、既存の枠組みにこだわってしまい変わることに戸惑う層も一部存在し、全社的な動きとならないことがありました。既存事業の中核を担ってきた社員や、パートナー企業の皆さまに当社グループの方針をご理解いただき、共に歩むことが重要であり、引き続き進捗を注視していきたいと思います。
蛭川:変革を実現するには、方向性や戦略を明確にし、現場のメンバーの実行力を高めるとともに、先頭を走る人が周りに目配りし、社員全体が目指す姿に向かうことが重要ですね。パーパスのもと、新しい仲間とも心を一つにしてシナジーを発揮することが課題だと認識しています。成長に向けてまいた種が花を咲かせ、果実を収穫できるまでスピード感を持って取り組みを進めるとともに、新しい成長の種をまき続けていきたいと思います。
キヤノンMJグループの強みのさらなる強化、新たな挑戦に期待
長谷部:当社の社外取締役に就任する以前から、当社グループの、大手企業から準大手・中堅企業、中小企業のお客さまに対する営業力とSEの技術力を高く評価していました。この強みを基盤として事業を展開するとともに、新たな事業の開発やM&Aへの取り組みと結合させることが、中長期的な成長を確かなものとするために重要です。
蛭川:強固な営業力、独自性のある技術力、この二つの強みは創業以来磨き続けてきたものであり、それらを生かして構築した幅広い顧客基盤が三つ目の強みです。今後も、「人」と「技術」の厚みを増すために、外部人材の獲得などにも一層注力したいと思います。新たな事業を開発するためには挑戦することが必要ですが、経験がないため、想定外の結果となることがあります。失敗を恐れて挑戦しないのではなく、失敗を学びとして次に進むことが大切であり、社長の足立は「失敗から学んで前に進むというプロセスを踏むことに意味がある」と社員に伝えています。
長谷部:人材・組織の強化に向けた意識改革への取り組みやITソリューション事業に関連する教育にも注目しています。特にサービス品質の向上への施策や「失敗学」研修は、事業領域を広げる中で、新たなリスクへの対応や業務プロセスの管理を強化するものとして評価しています。
キヤノン製品事業、ITソリューション事業の収益性向上に向けて
長谷部:キヤノン製品事業を取り巻く環境は厳しいですが、営業部門やパートナーの皆さまが力を発揮することにより、キヤノン製品の利益率を上げ収益を向上できています。また、ITソリューション事業は成長していますが、利益面では改善の余地があります。業務プロセスを改善することが利益につなげていくための一つ重要な点であると考えています。
蛭川:キヤノン製品は一部を除き、日本では成熟市場であり、利益重視の視点で付加価値の高い提案活動を積み重ねることを第一に考えています。ただ、成熟市場とはいえ、領域を細かくセグメントすると伸ばせる余地はありますので、拡大に向けても注力していきます。
また、ITソリューション事業は、引き続き、グループの独自の強みを生かせる領域を顧客層別に区分けし、重点的に拡大していきます。利益率向上に向けては、SEのみならず、業務部門や保守サポート部門の業務を支えるスタッフも生産性の向上に取り組んでおり、早期にキヤノン製品事業と同水準の利益率へと高めたいと思います。
長谷部:キヤノン製品事業は、業務プロセスを改善し、サービス品質がさらに良くなることで保守コストが削減されます。また、AIの活用により業務を効率化できれば、継続的な利益率向上、利益成長が期待できます。次期中期経営計画における取り組み、成果を期待しています。
加えて、ITソリューション事業の成長は、単に当該分野だけでなくキヤノン製品事業と組み合わせることにより、総合的なソリューションを提案できることが大きな強みとなり、競争力につながります。例えばドキュメントソリューションにおけるDXの推進は、オフィス機器とITソリューション事業を組み合わせ、また、映像ソリューションではキヤノンの光学機器とITソリューション事業を組み合わせることで力が発揮され、市場への訴求力が高まると思います。このような市場目線での新しい事業開発に期待しています。
蛭川:複雑化・高度化するお客さまや社会の課題に対し、デバイス単体の機能だけで解決できる領域は限られますね。長谷部さんのアドバイスの通り、キヤノンの技術、当社独自の技術を組み合わせていくことで可能性が大きく広がります。特に、「映像ソリューション」「デジタルドキュメントサービス」「サイバーセキュリティ」を組み合わせて提案できる競合は少なく、当社グループの大きな強みです。ドキュメントの入出力やネットワークカメラのように、情報や映像を集めることのできる高性能なデバイスと、当社グループが得意とするシステムインテグレーションを組み合わせて提案することにより、競合他社との差別化を図ることができるので、さらに注力したいと思っています。

当社グループの持続的な成長に向けて
長谷部:当社はキヤノンを親会社とする上場子会社であり、親会社と一般株主との間に利益相反が起こらないようにするための取り組みに注力しています。2024年12月期においても、キヤノン製品の取引における透明性や適正性について、社外取締役全員で検証を行いました。
独立社外取締役として監督機能をしっかり果たすとともに、私自身の経験・知見を踏まえ、キヤノンMJグループの事業変革、ITソリューション事業の展開について助言し、中長期的な成長に貢献したいと思います。
蛭川:取締役会での決議に際しては、社外取締役の皆さまから、少数株主の利益を毀損することがないか確認いただいています。
また、この数年で投資家の皆さまとの面談回数も年々増加しています。持続的成長へのご期待とともにガバナンスの高度化に向けた提言をいただいており、その内容は取締役会にフィードバックし、議論を重ねています。引き続き、皆さまからの提言や指摘を踏まえながら未来を見据えた成長投資を行い、当社グループの持続的成長を実現していきたいと思います。
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本ページの内容は統合報告書発行当時の情報です。