日本の人事部門を定型業務から解放する。キュービーファイブが挑む、現場に寄り添い変革を導く「課題解決型BPO」
2026年4月15日
いま、多くの企業の「人事部門」が大きな転換期を迎えています。労働人口の減少に伴い、人的資本経営※1の推進など、経営に直結する戦略的な役割が期待される一方で、現場では頻繁な法改正対応や定型業務に追われ、戦略的な業務に時間を割けないというジレンマを抱えています。
こうした課題に対し、単なる作業代行に留まらない「課題解決型BPO※2」を展開するのが、キヤノンマーケティングジャパングループの株式会社キュービーファイブ(以下、キュービーファイブ)です。同社で課長としてチームをまとめる大倉惠美に、キュービーファイブ独自の「柔軟性」を武器とした業務改善と、同社が顧客と共に描きたい「人事担当者の働き方・キャリアの変革」「人事からルーティン業務をなくす」という未来像に込めた想いを聞きました。
-
※1
人的資本経営:人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、企業価値向上につなげる経営手法
-
※2
BPO:ビジネスプロセスアウトソーシング。企業が自社の業務プロセス(人事・経理・総務・コールセンターなど)を一括して外部の専門事業者に委託すること
いま、人事部門が直面する課題
—いま、企業の人事部門ではどんな変化が起こっているのでしょうか。
大倉:少子高齢化が加速し労働人口が減少する中で、人的資本経営の重要性が高まっています。人事データ分析に基づくタレントマネジメントや組織開発など、人事部門が「経営のパートナー」として果たすべき役割は劇的に広がっています。
しかし多くの人事部門は、これまで同様に採用・育成・評価・労務管理などの役割も担い続けています。制度改正による事務作業の複雑化も追い打ちをかけ、現場の負荷は増大する一方です。人事担当者は日々の現場対応や事務作業に忙殺され、本来の使命であるはずの戦略的な仕事に十分な時間を割けない。これが、いま人事部門が抱える大きな問題です。
—そのような問題に対し、キュービーファイブはどのようなアプローチをとっているのでしょうか。
大倉:私たちは、問題の原因は「リソース不足」より「非効率な業務プロセス」にあると考えています。「人手が足りなくて業務が回らない」と悩むお客さまのお話を伺うと、業務プロセスに多くの非効率が隠れていることが少なくありません。
私たちは単に定常業務を請け負うだけでなく、現場に入り込み、業務負荷増大の背景にまで踏み込んで整理することを使命と捉え、人事部門が本来果たすべき役割にシフトできるよう変革を支援しています。
お客さまの業務環境を生かす「柔軟性」が強み
—具体的には、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。
大倉:私たちが提供しているのは、入社から退職までのオペレーションを一気通貫で支援する「人事・給与計算のフルアウトソーシング」です。単なる作業代行に留まらず、業務フローに潜む課題まで踏み込んで解決するため、私たちは「課題解決型BPO」と呼んでいます。
最大の特長は、特定のパッケージソフトを持たないことによる「圧倒的な柔軟性」です。一般的なBPOは、お客さまがベンダー側のツールやフォーマットに合わせる必要があり、お客さまが「期限までに決まった形式で入力用データをまとめる」などの作業に追われがちです。対して私たちは、お客さまが現在お使いの環境をそのまま生かし、私たちが合わせるスタイルをとっており、そこを強みと捉えています。
—自社システムを持たないことが、なぜ強みになるのでしょうか。
大倉:システムに縛られないため、お客さまの使っているシステムに私たちが直接ログインし、入力作業そのものから代行できるからです。お客さまの業務環境や既存のナレッジを最大限に活用し、現場の課題に耳を傾けながら業務を請け負い、フローの改善に取り組むことができます。
従来型BPOは、お客さまが整えたデータを「受け取って計算する」のが主業務ですが、私たちは社員番号の採番や退職手続き、メールや電話での従業員からの問い合わせ対応といった細かな実務まで全て引き受けます。いわば、お客さまにとっての「第2の人事部門」として動くようなイメージです。人事担当者の方が日々負担に感じている「入力」や「確認」の作業そのものをなくせる点にも、私たち独自の価値があります。
グループ11社の複雑な業務を効率化し、コスト20%削減を実現
—具体的に、大きな成果を挙げた事例はありますか。
大倉:象徴的な事例は、M&Aによって設立された全11社のグループ企業を抱えるホールディングス様のケースです。基本的なルールはある程度統一されていますが、まだ各社で細かく異なる対応があり、人事労務の運用が非常に複雑化していました。
特に課題となっていたのが「従業員対応」。人事労務部門には日々、「家族を扶養したいがどうすればいいのか」、「就労証明書を発行してほしい」など、問い合わせが絶えず寄せられ、担当者は多大なリソースを割き、対応に追われていました。
過去に他社BPOも利用されていたそうですが、計算代行のみだったので「従業員対応」などの業務は結局社内に残り、十分な効果が得られなかったそうです。私たちならこの複雑な状況にも柔軟に対応でき、従業員対応も一手に担える点に期待いただき、2023年1月から取り組みをスタートしました。
—業務の巻き取りやフローの改善はどのように進めていったのですか。
大倉:まずはグループ11社のうち3社からお任せいただき、最初の3カ月で各社の業務フローを全て可視化しました。各担当者さまから業務の進め方を細かくヒアリングし、会社ごとの独自の考え方や業務フローの違いを漏れなく確認した上で各社の業務マニュアルを作成。4カ月目から本格的に業務を巻き取り始めました。
業務を進めていくと、会社間で異なる業務フローの中にも「統一できること」が見えてきます。その段階で「この作業は、3社とも同じフォーマットで対応してもいいですか?」「この業務の進め方は、グループ内で統一できませんか?」と、業務の平準化を提案していきました。最初はお客さまのやり方に合わせつつ、徐々に理想形へ変えていく形を目指しました。
—具体的にどのような変革を行い、どんな成果を挙げたのでしょうか。
大倉:最も大きな変化は、長年「当たり前」とされていたアナログ作業の撤廃です。私たちがサポートに入るまで、こちらのお客さまの人事労務部門では月次の給与計算が完了したら、先月との差分一覧や支払い台帳を出力し、先月との差異がある箇所、合計金額などに一件ずつマーカーを引いて確認していたのです。私たちはこれを、デジタルでの管理・チェックに切り替えました。他にも11社でバラバラに管理されているフォルダ階層を把握し、統一できるところは統一するなど、小さな改善も行っています。
こうした積み重ねでお客さまと信頼関係を築き、翌年には6社、その翌年からはグループ企業11社全ての人事労務業務を一任いただくようになりました。当初はグループ全体で13名の社員の方が人事業務に携わっていましたが、現在は「社員4名+キュービーファイブ」という体制まで最適化できています。結果として、固定費は20%以上の削減につながりました。
お客さまからは、最大の課題であった「従業員対応」を私たちが巻き取り、人事部門がコア業務にリソースを割けるようになったことを、特に高く評価いただきました。「コア業務以外は全てキュービーファイブにお任せしたい」「何か起きてもキュービーファイブとなら乗り越えられるという安心感がある」というお言葉もいただき、非常にうれしく感じています。
「人事からルーティン業務をなくす」ために、自分たち自身もワクワク働ける組織へ
—この事例を通じて得た学びや、今後の展望について教えてください。
大倉:このケースでは、11社のうちの3社から段階的に取り組みを進めたことが成功要因でした。お客さまに寄り添い、着実に信頼関係を築いていった結果、グループ全社の業務をお任せいただけたことは、大きな自信にもつながりました。
同様に多くのグループ企業を抱え、人事労務業務の平準化にお悩みの企業はたくさんいらっしゃいます。そうした企業に対し、一部からお任せいただく段階的なアプローチが有効であることを確認できたのは、私たちにとっても大きな成果です。今後はこのモデルを展開し、より多くの企業の人事部門の、働き方やキャリア形成の変革に貢献していきたいと考えています。
—キュービーファイブとしては、どのような展望を描いていますか。
大倉:私たちは「人事からルーティン業務をなくす」ことで、人事担当者の働き方やキャリアが変わっていく未来を実現したいと考えています。
労働人口の減少や働き方の多様化が進む中で、人事部門は単なるオペレーションの担い手であってはならないと思います。私たちがフルアウトソーシングを通じて安定した業務基盤を提供し、高品質に運営していくことで、本来注力すべき「人材戦略の中核」へと回帰できるよう、お役に立っていきたいです。
—大倉さん個人として、大切にされていることはありますか。
大倉:私は、「柔軟性」こそがキュービーファイブの価値の源泉だと感じています。これからも、そこを大切にしながらお客さまに寄り添い続け、業務を担う当社のメンバー自身もワクワクしながら、やりがいを持って仕事に取り組める体制をつくっていきたいです。
メンバーには「単なる作業者ではなく、能動的に行動してほしい」と思っていますので、「どう進めたいのか」「何がやりたいのか」など、都度意見を聞いています。日々の業務の中で、メンバーの「この作業はもっといい方法があるはず」「この情報はチーム内で共有した方がいい」という気づきを大切にし、お客さまにも提案していく。与えられた作業をこなすだけでなく、自ら現場を変えていく実感を持つことが、やりがいにつながるはずです。
メンバーが生き生きと働けてこそ、お客さまにも満足いただける体制を継続できる。お客さまに「キュービーファイブに出会えてよかった」と思っていただけるよう、これからもチーム一丸となって、人事業務変革のお力添えをしていきたいですね。

関連リンク
本記事に関するアンケートにご協力ください。
2分以内で終了します。(目安)