札幌市立明園小学校校舎の思い出プロジェクト 実施事例


2024年11月に、札幌市立明園小学校にて「校舎の思い出プロジェクト」を実施しました。




札幌市立明園小学校の先生方にお話を伺いました
小学校の歴史についてお聞かせください。

昭和42年(1967年)12月16日に開校し、創立57周年を迎えました。開校前に保護者の方々に校名を募集したところ、北陽、北陵、北明、明園の名前が挙がり、その中からいちばん希望が多かったのが『明園』でした。この名には、広く果てしない石狩平野を望みながら、明るく元気にしっかり学び、立派な人になってほしいという願いが込められています。
親子2代で本校に通っている御家庭もあり、長く地域の皆さんと共に歩んできました現校舎でしたが、老朽化に伴い、令和7年度より新校舎で新たなスタートを切ることになりました。(高橋校長先生)
「校舎の思い出プロジェクト」を行うことになったきっかけについてお聞かせください。
校舎の建て替えという大きな節目を迎えるにあたって、「校舎お別れ会」などの儀式に代わり、長く子どもたちや保護者・地域の皆さんの心に深く刻まれる行事ができないかと考えていたところ、近隣校で本プロジェクトを実施したという話を聞きました。その学校を訪問し、壁に描かれた素晴らしい作品の数々を実際に拝見させていただいたことで、ぜひ本校の子どもたちにも経験させてあげたいと思い、応募させていただきました。(高橋校長先生)
「校舎の思い出プロジェクト」のサポートプログラムはいかがでしたか?

本校は11月末が実施日でしたが、夏には本校教職員にweb会議で当プロジェクトの概要と当日に向けての流れや注意点などを説明していただきました。そのおかげで他の行事や教科学習と並行しながらゆとりをもって活動を進めることができました。また、絵の具を始め画材を豊富に提供いただいたり、デジタルカメラをお貸しいただいたりと、手厚くサポートをいただきました。不明点があった時には電話やメールで連絡・相談させていただきましたが、担当者の方がいつでも親身に対応してくださったのが本当にありがたかったです。(伊藤先生)
特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。
どちらかと言うとこれまで人前に出ることに苦手意識をもっていた子が、「ねぇねぇ、私がここに桜の木を描くから、○○さんと□□さんは私が描く木の左側に花びらを描いて。花びらが風でひらひら舞うようにしようね!」と周囲の子に積極的に呼びかけ、生き生きと校舎の壁に向かう姿にはたいへん驚きました。『思い出の詰まった校舎の壁をキャンパスに描く』という非日常の空間が、彼女のこれまで内に秘めがちだった思いを開放させたのだと思っています。
また、参観日の際に御来校いただいた保護者の方の中に本校の卒業生の方がおり、子どもたちの作品を眺めながら目に涙を浮かべられていたのが印象的です。きっと子どもたちの作品を通して、御自身が明園小で楽しく過ごした日々を懐かしく思い出されたのではないかなと思っています。(伊藤先生)
学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子どもたちが描いていくときはどのような反応でしたか?

事前に構想を練り、何を描くのかはっきり決めていたものの、実際に壁に描くとなるとためらいの様子を見せる子が少なくありませんでした。友達が描き始めると、堰を切ったように多くの子が勢いよく続いて筆を動かし始めました。子どもたちはもちろん、大人も目をキラキラさせながら活動に向かっていました。いつも描いている画用紙とは異なる、つるつるした壁の描き心地を楽しんでいました。(横澤教頭先生)
子どもたちが撮影した写真や、撮影している様子をご覧になっていかがでしたか?
自分たちが描いた自慢の作品をよりよく見せようと、こだわりをもって撮影に向かっていました。また、我々大人では考えも及ばないカメラアングルで撮影する子もおり、感心しました。普段は大人にカメラを向けられることが多い中、友達同士で撮影し合うという状況が新鮮だったようで、どの子も自然に笑顔を浮かべていました。子どもたちにとって、かけがえのない貴重な経験になったことをたいへん嬉しく思っています。(横澤教頭先生)
保護者や卒業生、地域住民の皆さんの反応はいかがでしたか?
実施日にお手伝いいただく保護者ボランティアを募集したところ、想定を大きく超える90名近くの方に御参加いただきました。絵の具の準備や写真撮影の補助など、多岐にわたってお手伝いいただきました。子どもたち・保護者・教職員が一体となり、心に深く刻まれる思い出ができました。
実施日当日にはテレビ局が取材のため来校し、情報番組で本取組を紹介していただきました。その反響は大きく、OA後は卒業生を中心に「私も参加したい!!」という声を数多くいただきました。そこで、“卒業生・地域の皆さんのメッセージスペース”を設け、お便りやホームページで参加を呼びかけたところ、30名を超える方々に御参加いただき、心温まるメッセージやイラストをかいていただきました。「僕の知ってる中学生のメッセージだ!」などの声があがるなど、子どもたちは大喜びでした。(伊藤先生)
今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。
このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。
校舎の壁をキャンパスにして思い思いに絵を描いたり、楽しく活動している様子を子どもたち自身で撮影し合ったりするなど、普段では経験できない機会をいただきました。本当にありがとうございました。本プロジェクトに関わった子どもたち、保護者や地域の皆さん、教職員全員にとって忘れがたい素敵な思い出ができました。
今後、この取組が更に広がっていき、より多くの方々に素敵な思い出が刻まれることを願っています。(高橋校長先生)

プロジェクト作品

大判プリント作品
