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いなみ野特別支援学校
校舎の思い出プロジェクト 実施事例

2024年11月に、いなみ野特別支援学校にて「校舎の思い出プロジェクト」を実施しました。

いなみ野特別支援学校の先生方にお話を伺いました

歴史についてお聞かせください。

昭和55年に「兵庫県立いなみ野養護学校」が開校し、小学部と中学部が設置されました。昭和58年には体育館が完成し、同年に高等部も設置されました。以降、児童・生徒の増加に伴い、プールや陶芸室、特別教室棟などの仮設校舎が増設され、平成9年には訪問教室も開始されました。

平成19年には名称を「兵庫県立いなみ野特別支援学校」と改め、平成27年には訪問学級を「あおの訪問学級」と改称しました。創立44年を迎えた本校は、地域の児童・生徒数の増加と施設の老朽化に伴い、このたび校舎の建て替えが決定されました。(校長)

「校舎の思い出プロジェクト」を行うことになったきっかけについてお聞かせください。

校舎の建て替えが決まり、職員や児童生徒、PTAの話し合いの中で「校舎に感謝を伝えるイベントはできないか、何か思い出を作りたい!」というアイディアが出ました。絵を描くことが好きな児童・生徒が多い本校で、アートで何かを形に残せたらと考えました。「イベントとしての予算や日程が限られているが、何かしたい!」と考えていたところ、美術担当の教師がこのプロジェクトを見つけ、応募しました。(総務部 大屋)

「校舎の思い出プロジェクト」のサポートプログラムはいかがでしたか?

大きな予算がとれない中、絵の具や刷毛、クレヨンやマジックを提供していただけたことで、校舎や体育館の壁や窓をキャンパスに、小・中・高等部の全校児童生徒が参加できる大規模な内容で実現できました。(総務部 大屋)
担当教師は、校舎への壁画体験がなかったのですが、必要な画材の種類や量、使い方、プロジェクトの進め方やさまざまなアイディアを教えていただけたことで充実した内容で授業ができました。(野口)

特に印象に残っているエピソードなどあれば教えてください。

手形で模様をつけていた高等部生徒が「楽しい!」と止まらない止まらない(笑)。服や髪にも絵の具をつけながら、パワフルに制作していたことが印象的でした。(蘆田)
同じ学校にいても学部間の交流はあまりありません。今回のプロジェクトを通して全校一丸となって取り組む中で、高等部の生徒が小・中学部の手を優しく取って、絵の具の使い方や色の塗り方を教える姿が見られました。このプロジェクトがなかったら見られなかった姿だと思います。普段の授業では見られないお兄さん、お姉さんの姿がとてもステキでした。(佐々木)
ガラスへのペイントがとても楽しそうでした。友だちと相談しながら次々と面白いアイディアが出て、普段の授業にはない笑いと活気があふれていました。教師も生徒も時間を忘れて制作に没頭できました。(野口)

学校の壁という本来描いてはいけない場所に、初めて子どもたちが描いていくときはどのような反応でしたか?

なかなかない経験のため、多くの生徒が最初は慎重に取り組んでいました。また、人通りの多い場所での制作だったため、様々な人に声をかけられてうれしそうでした。「もっとやりたい」と声を上げる生徒も多くおり、達成感を感じることができました。(蘆田)
普段描くと怒られる場所に描くことに対してわくわくドキドキとした様子でした。「普段できないことだから楽しい!」と言った生徒もいました。(佐々木)

子どもたちが撮影した写真や、撮影している様子をご覧になっていかがでしたか?

スマートフォンでの写真撮影には慣れている生徒たちですが、デジタルカメラでの撮影経験は少なく、「難しいなあ」「何を撮ろうかな」「どう撮ったらいいかな」と悩んでいる様子でした。しかし、何枚か撮影するうちに「もっとこう撮ろう」というアイディアが生まれ、次々と写真を撮っていました。特に友だちを写した記念撮影や笑顔の写真が多く、生徒同士だからこそ撮れた表情もたくさんありました。(佐々木)

保護者や卒業生、地域住民の皆さんの反応はいかがでしたか?

PTA役員が取材に来て、広報誌に掲載してくださいました。子どもたちの交流の様子を見て、とても良い経験になったと喜んでおられました。HPにも掲載したことで、卒業生からも「思い出がたくさん詰まっている校舎が、カラフルになっていてうれしい」とメッセージをもらいました。(総務部 大屋)

今後、「校舎の思い出プロジェクト」を多くの小学校にて展開をしていきたいと考えております。
このプロジェクトに今後期待することや、メッセージがございましたらお聞かせください。

本来、小学校を対象としたプログラムということで、特別支援学校である本校は対象外かなとあきらめていましたが、ぺんてるさん・キヤノンさんのご厚意・ご尽力で、プロジェクトに参加させていただけることになり、子どもたちにとても貴重な体験をさせてあげることができました。特別支援学校の児童・生徒にはアート活動が大好きな子がたくさんいますので、ぜひ今後も特別支援学校への協力をお願いしたいです。(野口)

プロジェクト作品

大判プリント作品