メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025 キヤノンマーケティングジャパンブースリポート


“製造業”・“土木・建設業”のメンテナンスと設備の維持管理・保全に特化した専門展示会「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025」に出展
2025年7月に東京ビッグサイトで開催された※「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025」は、製造業・建設業の生産性向上と持続可能な社会資本整備、レジリエンス向上を目指した総合展示会です。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、生産年齢人口の減少による「8掛け社会」の到来を見据え、「映像×AIで現場DXを加速、『8掛け社会』に備えた点検革新」をコンセプトに、深刻化する人手不足とインフラ老朽化という社会課題へのソリューションを提示しました。本リポートでは、会場で注目を集めた3つのデモンストレーションを中心に内容をご紹介します。
-
※
「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025」内の「第19回インフラ検査・維持管理・更新展」に出展、8展示会合計で455社・団体が出展、32,392人が来場。
キヤノンMJが提供する映像ソリューションで、 “現場に行かずに点検” を提案
私たちの社会は、高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化という課題に直面しています。また、製造業や建設業では、少子高齢化による人手不足が深刻化、熟練技術者の技術継承が困難となっています。
これらの課題は、従来の目視や手作業に頼る点検業務の非効率性、コスト増大、安全性リスクを生んでいます。広大な現場の巡回、危険箇所での作業、データ管理の複雑化、報告書作成の煩雑さ、異常発生時の初動対応の遅れなど、現場におけるメンテナンスの課題は多岐にわたっているのです。


キヤノンMJでは、こうした現場課題に対し、「映像」と「AI」を組み合わせた現場DXソリューションを提供し、大きな注目を集めました。今回の出展では、STEP1 遠隔で見たい→STEP2 自動で点検したい→STEP3 迅速に解決したい という3ステップの実機デモで、実際の保守現場に密着したインフラ点検業務の変革をご紹介しました。
STEP1遠隔で見たい:キヤノンMJ × Safie クラウド映像で現場の今を見える化
Safie GOやSafie Connect、Safie Pocket2で、遠隔地にいながら現場をリアルタイムに「見る」、移動時間やコストを削減し、安全性を高める

遠隔監視「過酷で危険な現場、人里離れた僻地など、あらゆる現場をリアルタイムで常時監視」
これまでの現場管理は、実際に訪問し、目視や対面で確認することが必須でした。しかし、人里離れた建設現場や発電所などでは移動時間や交通費に加え、過酷で危険な点検作業を担う人材不足が課題となっています。また、広大な敷地は移動や複数箇所の状況把握も困難です。こうしたさまざまな課題を解決するため、キヤノンMJとセーフィー社は、遠く離れた場所からでも現場の状況をリアルタイムに把握できる各種クラウドカメラソリューションを提供しています。
例えば、セーフィー社の「Safie GO(屋外対応オールインワン クラウド録画ソリューションカメラ)」は、人が常駐して監視を続ける必要がある場所に設置し、遠隔からモニタリングするのに適しています。異常の兆候や詳細確認が必要な場合は、事務所のPCモニターでライブ映像を一元的に管理できます。カメラには、首振りやズーム可能なタイプ、360度パノラマタイプがあり、SIMカード搭載の防塵・防水仕様のルーターがセットされているため、電源を挿すだけですぐに利用できるのです。
また、プラント建設工事の状況確認や橋梁の裏側など、人の立ち入りが難しい現場では、ドローンを活用した点検作業が一般的ですが、従来は撮影時に操縦者と監督者の間で映像が共有できないため、撮り直しが何度も発生していました。しかし、あらゆるデバイスの映像をHDMIケーブルでつなぐだけでクラウド化できる「Safie Connect(HDMI出力対応ルーター)」を使えば、監督者が現場に行かなくても、遠隔からリアルタイムで映像を確認しながら操縦者への指示が可能となり、より効率的に、広範囲の点検や状況把握が可能です。


さらに、作業員が胸ポケットなどに装着して使用する「Safie Pocket2(トランシーバー型ウェアラブルクラウドカメラ)」を活用すれば、監督者は遠隔地から作業員の視点でリアルタイムに映像を確認しながら、音声で的確な指示・サポートが実施可能です。これにより不慣れな作業員の判断ミスや作業漏れを防ぎ、現場の安全性向上と効率化を実現。録画映像は教育コンテンツとして蓄積され、技術伝承の効率化も実現できます。
来場者からは「常時監視が必要な現場にはSafie Go、何かあったら気軽にSafie Pocket2を使って遠隔から支援するのが良さそうですね。Safie Connectを使えば、設備監視用のモニターディスプレイも工事不要でクラウド化できるので、色々な使い道が考えられそうです」と高評価でした。
STEP2自動で点検したい:アナログ計器読み取りを自動化/ AIによる変状検知で内業を省人化
Vision Edition 2や インスペクションEYE for インフラ で、AIを活用して点検・計測作業を「自動」化し、目視確認や手作業によるミスや負担を削減

自動点検「アナログメーターを自動で読み取り、転記ミスや人的負担を軽減」
工場や商業施設の設備点検、水力発電所の監視など、製造業や設備メンテナンスの現場では、今も多くのアナログ計器が使われています。これまでは、人が定期的に現場へ足を運び、制御盤の数値を手作業でメモし、事務所に戻ってからPCに入力する作業が一般的でしたが、この非効率なプロセスで、転記ミスや人的負担、時間ロスが常態化していました。
キヤノンMJは、「Vision Edition 2(AI画像解析技術を活用したFA向け画像処理ソフトウェア)」を提供。カメラ映像からアナログメーターや形状、バーコード、数字、文字などを自動で読み取り、リアルタイムにデータ化することで、正確な点検レポートの作成が可能です。また、ネットワークカメラを使えば複数箇所を1台で自動計測。「取得したいもの」「数値化したいもの」は、フローチャート式に選ぶだけで、文字認識などもノーコードでプログラムでき、簡単です。
これにより、今までは現場に行かないとわからなかった情報が常にリアルタイムで取得できるようになりました。何か変化があっても次の点検時まで気づけなかった「予兆」などを、変化が発生した時点で把握し、事故やトラブルの防止にもつなげることが可能です。この効果は人が頻繁に訪れるのが困難な場所ほど、有効に機能します。


また、Vision Edition 2は、IoTセンサーでは代替できない複雑なケースにも対応。下水道局や化学プラントメーカーの巨大な浄化処理槽では、これまで人が行っていた水位確認をカメラで自動計測し、処理中の汚水表面に発生する気泡の状態を面積値で検知して処置が必要な80%以上になったら通知することも可能です。他にも、製品組み立てラインでパーツを認識し、取付位置やネジ締めの手順を確認したり、海外出荷製品の外国語表記の正逆を検知して貼り間違いを防いだりするなど、作業指示補助や品質チェックでも活用できます。
来場者からは「人的負担対策が急務だったので、自動化できるなら検討価値大!既存のアナログメーターがそのまま使えるのが助かります」と関心が寄せられました。
自動変状検知・分類で作業リスク軽減「予防保全の精度向上と効率化」
社会インフラの老朽化が進む中、橋梁などのインフラ構造物の点検は、非常に時間と手間がかかる作業です。現状は、作業員が構造物に接近し、目視でひび割れなどを確認し、クラックスケールで実測、それを事務所に戻ってから手作業でCADデータに移し替えるというプロセスが一般的でしたが、ひび割れの数が多いと膨大な時間がかかり、高所での作業は常に危険と隣り合わせとなっています。


キヤノンMJは、「インスペクションEYE for インフラ Cloud Edition(AI技術を駆使したクラウドベースのインフラ構造物変状検知サービス)」により、次世代のデジタル点検システムを提供。
使い方はシンプルで、まずは作業用フォルダを作成し、点検現場や構造物名を入力してから、カメラやドローンで撮影した複数画像を合成して1つの画像に再構成し、さらに、あおり補正を行って正対化した画像をアップロードするだけです。
後は、リスト表示された画像から、ひび割れ、エフロレッセンス(白華)、鉄筋露出、はく落、錆汁(さびじる)の5種類の変状の中から検知したい項目を選択し、幅の設定をして実行ボタンを押すだけ。画像サイズにもよりますが、1枚あたり大体10分以内で処理が完了します。


検知結果は色分け表示され、特定の変状だけをハイライト表示したり、0.05mmという微細なひび割れも検知したりすることも可能です、また、チョーキング(白亜化現象)とエフロレッセンスを間違えることもありません。NETIS(新技術情報提供システム)登録技術にも登録されているので、入札での加点、品質・安全性の向上、工期短縮といったメリットをもたらすことも可能です。
自治体が管理する橋梁の点検で建設コンサルタントが活用するケースが増えており、来場者からは「大量の画像処理には時間もかかるので、画像をアップロードして、検知ボタンを押した後に別の作業を進め、後で結果を確認すれば、時間の節約にもなり、安全性の向上だけでなく、点検業務の効率化と報告書作成の迅速化が図れそう」と高い関心を示されました。
STEP3迅速に解決したい: キヤノンMJ × MODE 生成AIで現場対応をリアルタイム化
IoT と BizStack の連携で「迅速」 に解決、現場における異常発生時に必要な情報へ即座にアクセスし、遠隔から迅速に判断・対応

迅速な対応と的確な判断で異常を復旧「現場の初動対応に」
大規模なビルやプラントでは、使用される機械や設備が、常に安全かつ安定的に稼働するよう維持管理するために、設備を常時点検し、監視することが重要です。しかし、複数拠点や敷地面積の広い施設の場合、点検箇所が多く、非常に時間を要します。また現場で異常が発生した場合には、状況把握の遅れが初動対応の遅延につながりますが、現場に駆けつけるまでの移動時間や、過去のデータ、関連資料を確認する時間が必要となり、正確な状況判断と迅速な対応の両立は困難です。
キヤノンMJの「BizStack(MODE社のソリューション型IoTプラットフォーム)」は、複数の各種センサーや測定器からのデータ、カメラ映像などの膨大な情報を、ゲートウェイデバイスを通じて集約してリアルタイムに解析し、統合管理と可視化が可能です。メーカーや種類が異なるセンサーも、BizStackが統合して表示するため、現場に行かなくても、手元で情報を一元管理できるのです。


さらに、「BizStack Assistant(チャット型AIアシスタント)」は、使い慣れたteamsやSlackといったチャットツールを使って、異常通知を受けたり、音声入力で対話したりするだけでなく、生成AIが日常会話のような音声入力や誤変換も認識して意図を汲み取ってくれるため、ITツールが苦手な方でも簡単に活用できます。
例えば、異常通知を受けたら、「異常発生時点の映像を見せて」と指示するだけで、ピンポイントで瞬時に、その映像のURLが表示され、その場で確認が可能になるのです。


また「配電盤の電流値の1週間の結果を出して」と指示すれば、膨大なデータの中から必要な情報を瞬時に解析し、グラフ化して手元に表示してくれます。さらに、排水ポンプが異常を起こしていると表示された際も、あらかじめ、復旧マニュアルを登録しておけば、いつでも復旧手順を確認できます。これにより監督者が現場に向かうことなく、事案発生から初動判断、対応要否の決定まで遠隔で効率的に指示することが可能です。
来場者からは「工事現場では熱中症対策として暑さ指数(WBGT)測定器を導入しているが、通常は現場で表示しているだけで、危険な水準になっても気付かず、対策が後手に回ることが多かった。しかし、BizStack Assistantに問いかけるだけで現在のリスクを把握したり、センサーから離れた場所でも通知を受信したりできるようになるので、現場の安全性が確保されそう」と期待が寄せられました。
人手不足に起因したさまざまな課題を、「人の目」に代わる「映像ソリューション」で解決
現場の劇的な変革を促す包括的ソリューション
キヤノンMJが提供するのは、単なるカメラやソフトウェアではありません。人手不足や高齢化が深刻化する現代において、「現場に行く」→「目視で確認」→「手作業で記録」→「報告書を作成」→「対策を検討」という従来のアナログで煩雑な業務に対して、顧客特有の現場課題に寄り添い、お客さまのワークフロー全体を俯瞰して捉えながら、映像だけに拘ることなく新たな技術を活用し、業務効率化、省人化や安全性向上など、包括的なソリューションを実現します。

キヤノンMJは「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025」にて、"映像×AI"で人手不足や業務課題を解決する未来を披露しました。最先端技術を活用し、アライアンスパートナー各社との共創・協業をより一層進め、社会課題の解決に取り組むキヤノンMJに、今後もご期待ください。